皆さんは前歯に白い被せもの入れていらっしゃいませんか?
その被せものが土台ごととれたと患者さんが来院された時に
「朝歯を磨いていたらぽろっととれた。」
とか
「やわらかいパンを食べていたらとれた。」
と言われることがよくあります。
固いものを噛んだわけではないのになぜ?
と思われるかもしれませんが、これにはワケがあります。
詰めもの、被せものがとれてしまう主な原因(細かいことをいえばたくさんありますが)を挙げると
① 周りから虫歯になってきた
② 一部合っていないところがあり、爪楊枝やフロスが引っかかりとれてしまった
③ 歯にヒビが入ったり、歯が割れたりして口の中の水分、血液などが入り込み、とれてしまった
④ かみ合わせが悪いことで、人工物にとれる力が加わり(一時的or常時)外れてしまった
ということが考えられます。
この中で割合が高いのが、③と④。それもかなりの確率で④です。
人は起きているときには、ある程度噛む力をコントロールしていますが、寝ているときにそれはほぼ不可能(自己暗示療法などもありますので全く不可能とはいえません)で、患者さんによっては、神経がある健康な歯を歯ぎしりによって真っ二つに割って来院される場合もあるくらいです。
下顎はかなりの重量があり、それもしっかりと他の骨と連結しているわけではありませんので、仰向けで寝ていると、その重みで空気の通り道、気道を圧迫する方向へずれていきます(沈んでいきます)。また、奥歯のかみ合わせが悪い時、人は悪い部分を避けるように、反対側の前歯へと顎をずらしていく傾向があります。(対角線の法則)。
このように苦しさ・不快感・痛さから脱出するために下顎を前に持っていく必要があるのですが、その過程で前歯の被せものに一部強くあたる、あるいはスムーズな顎の移動を邪魔する部分が存在すると、これに繰り返しとんでもない力が加わることになります。
夜間ある歯に対して集中した
「いじめ」
があると、ボロボロにされたその歯は、我慢できずに朝家出をしてしまうことになり、これが、
「朝歯を磨いていたらぽろっととれた。」
「やわらかいパンを食べていたらとれた。」
ということの本当の原因と言えます。
現在歯科医院で使用されている合着用セメントは質が高いので、
「セメントが溶け出してとれた」
ということはないと考えていただけて結構です。
きちんとしたかみ合わせの調整や虫歯その他の原因について除去しても、何度もとれてしまうという場合はほぼ
「歯根破折」
ということになりますが、通常のレントゲン写真やルーペで見ても、初期の歯根破折は確認できない場合がほとんどです。
当院はCTを設置していますので、初期の破折についてもCT画像で確定診断した上で、抜歯の必要性を患者さんに説明していますので、どうぞご安心ください。
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