午前中の診療を少し早くあがり、松浦市の3歳児検診にスタッフ2人と行ってきました。
松浦市は小さいうちから虫歯をつくってしまうお子さんが多い地域ですが、今日はいつもより少なかったようです。
問題は、乳歯ばかり(乳歯列)なのに、すでに前歯がガタガタ(叢性)の子供が半数以上であったこと。
例外なく、顔の真ん中あたり(中顔面)の前方成長が不十分で、下にずり落ちたような風貌でした。
バイオブロックやRAMPAによる早期の治療が必要なほどではありませんでしたので、永久歯へ生え替わる時期に相談してくださいとお伝えしています。
このようなときによく聞かれるのが、
「固いものを食べさせなかったからでしょうか?今からよく噛むように言い聞かせたら歯並びが少しよくなるでしょうか?」
という内容の質問です。
マスコミ、またテレビに出てくる勉強不足の著名な?プロにだまされてはいけません。
先ほどの質問に対する答えは、間違いなく
「No!」
なのです。
以下に参考になる論文の一節を引用させていただきます。
【一般の人たちに対して講演されるときには、自分自身の研究データはなくとも、少なくとも講演内容を裏付ける信頼に足る原著論文に基づいて行ってほしいものです。
残念なことですが、近年、軟らかい食品を摂取すると顎が小さくなり歯並びが悪くなるということは、一般のほとんどの人々に信じられています。
しかし、この根拠とする論文は、極端な条件下での動物実験と古代人と現代人の食生活を比較し、類推した論文によるものと思われます。
私の研究結果では、戦後の小児に限定して得られたものですので間違えないで下さい。
私の不勉強で、もしかすると戦後、軟食を摂取した結果顎が小さくなったという論文を見逃しているかもしれません。もし、そのような論文がありましたら、ぜひご恵贈いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
日本歯科評論 No.672 1998年 10月号
誌上シンポジウム 『最近の“日本人の顎”は小さくなっているのか?』より 】
小児歯科界の重鎮の町田先生が不勉強であるわけがありません。
要は、軟らかい食事をしているから顎が小さくなってしまうということはないということです。
以前のブログでも書きましたが、間違った発信をプロが行うことだけは避けてもらいたいものです。
さて、今から午後の診療に入ります。
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