歯内治療のレベルで、見えるところや考えるところが違うのでは?
一昨日根管充填を行った症例です。
3回の治療で、治療前から根充まで約2週間。
このデンタルX線写真を見て、根管治療がそれほど得意ではない方は、
「そこそこ弯曲している根管だな。どんなニッケルチタン製ファイルを使ったのだろう。」
と思われるかもしれません。
もう少し詳しいかたは、
「根尖近くは、何号で拡大しているのかな。50号か55号くらいか。それにしては、根管上部を大きく開けていないな。細い弯曲根管の処置はそれほどでもないが、サイズが大きい弯曲根管の処置は難しいぞ。」
というところに目を付けられるでしょう。
また、もっとハイレベルになると、
「上顎洞底粘膜の局所的な肥厚がすっかり治っている。うまく起炎物質を除去できたとしても、こんなに早く正常になるのだろうか。
うん?この肥厚の中心は根管の先端ではないな。そうであれば、根尖側1/3付近に大きな側枝があるのだろうか。」
という疑問をもたれるのではないでしょか。
上記を考えると、この症例だけで歯内治療は2つの大きな不確実な要素を抱えながら治療を終えるしかないことがわかります。
・何号まで拡大したらよいのか、はっきりしたその答えはない。根尖近くで初めてバインドするファイルサイズから何号サイズを上げるとか、平均値を参考にするとか、マイクロスコープや強拡大の拡大鏡で根管を直接見てきれいになっているとか、“アバウトなところ” で決定するしかない。
・我々が治療できるのは、主根管のみ!!!側枝など機械的にきれいにできるわけではない(化学的に清掃できるのも浅い部分だけのはず)。
どんな偉い先生が、どんなにきれいなレントゲンを見せて語っても、
「根管の確実な無菌化など絵に描いた餅。歯内治療なんてそんなもの!」
と言わざるを得ないところでもあります。
だからといって、そこそこの処置を行えばいいとよいということではなく、今わかっている範囲でベストを尽くさなければならないことは言うまでもありません。
この不確実なところを補う一つの方法として、
キャナルシーラーBGなどの質の高い結合型シーラーを使って、細菌を埋葬し化石化して、生体に為害性の少ない歯にしていくということを末竹歯科医院では行っています。
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