一番のご褒美
昨日84歳女性の患者さんの上顎前歯部6本ブリッジをセットしました。
主訴は、
「上の唇がベタベタする。裏側の金属が気になる。」
というものでした。診断した結果、唇側豊隆が著しく強い、歯冠長が長い、アンテリアガイダンスの不備などがあったのですが、他院でこの補綴は自費で作ってもらってからまだ4~5ヶ月しか経っていないとのこと。
様々なことを考慮し、まずは削合にて形態修整をしてみることを提案しましたが、患者さんから
「先生が作り直してください。そのつもりで来ましたから。」
と言っていただきました。当院の自費の補綴は平均よりもやや高めの治療費を設定していますし、数ヶ月しか経っていない自費の補綴をはたして簡単に外してもいいか再度伺ったところ
「周りのかたから、『あそこでダメだったらあきらめなさい』 と言われてきました。とにかくお願いします。」
と患者さん。
左上1、2番 2本欠損の3~3までのブリッジで、欠損部の唇側陥凹が大きく、年齢を考えずに審美補綴を計画するのであれば、リッジオグメンテ-ションをしてポンティック形態を整えるか、GBRをしてインプラントを考えます。しかし、患者さんは84歳のご高齢。今回は歯肉、骨は扱わずに補綴を行いました。
十分考慮したのは次の点です。
〇 2本失った原因を考え、それを排除しておくこと
〇 唇の違和感を極力除去すること
〇 スムーズなアンテリアガイダンスを付与すること
〇 咬合接触の強さを考慮すること
〇 歯肉陥凹部が大きなアンダーカットとならないようにポンティック形態を考えること
以上の考えで治療にあたり、最終補綴物を装着できたのが昨日です。
最後に
「普段のイライラとした気分が解消できました。スッキリと何の違和感もありません。もっと早くお世話になればよかった。」
と言っていただきました。
この言葉と、素晴らしい笑顔とともに深々と頭をさげていかれる患者さんの姿は、何にも代えがたい一番のご褒美です。
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