医療人としてやってはいけないこと
重いタイトルですね。
医療人としてやってはいけないと私が思っていること。
それは、あるところを治していると思いながら(実際に治っているかどうかは別にして)、実は
健康を害することを行っていること
知らずに行っていることも問題ですが、知っていながら見て見ぬふりしてやり続けているかたに対する私の評価は・・・
人間は、ゾウとともにオトガイを持つ動物です。
前頭葉の拡大等により、中顔面(鼻上顎複合体)が退縮して上顎歯列長径が縮小し、それに伴う気道の圧迫をできるだけ少なくしようと下顎底部が前方に拡大して、その結果
ヒト特有のオトガイ
が見られるようになったと考えて問題ないでしょう。
違った見方をすれば、
『オトガイが見られない顔は、ヒトらしさが損なわれた顔であり、あるべき気道径が確保されていないことが多いと想像できる。』
とも言えます。
成長発育期における小児の矯正治療で、
オトガイを出して、魅力のあるしっかりした側貌を得るためにはどのようにしたらいいのか?
少なくとも、気道を縮小するなど健康を害するような治療を避けながら歯列を整えるためにはどのような治療を選択したらいいのか?
それは、回転させながら下顎を前方に誘導することを補償する上顎の水平的な成長を誘導することです。
決してまちがってはいけないのが、
垂直的に長くしながらの上顎前方成長では何の意味もないということ。
バイトアップしてセットするタイプの機能矯正装置や、グニャグニャとした既製品を口に入れさせて長時間・長期間使用することは、まちがいなく下顎を後下方へ振ることになりますので、何となく上顎が前に出たような気になりますが、それは悪化した下顎との相対的な位置関係であって、歯並びだけを治しながら、
顔を長くしながら気道も圧迫する
という医療とは言いがたいことになっている可能性があります。
同様に下顎をセットバックする治療は、舌の本体である下顎舌面より起こるオトガイ舌筋がダイレクトに気道を侵食するため、良いはずがありません。
これらのことに気づかずに、あるいは目を背けて小児の矯正治療を極めてこられたかたたちはには、
「何の治療でも良いことばかりではない。プラスの面とマイナスの面がある。」
と抵抗されるかもしれませんが、
● 小児の睡眠時無呼吸症候群
また、
● 小児の無呼吸とADHDの関係
がどんどん取り上げられるにつれ、近い将来必ずや
咬合高径を必要以上に大きくせずに水平成長を促す治療
その結果、オトガイがしっかりしたヒトとして魅力的な顔貌が期待できる治療
としてバイオブロック療法が脚光を浴びることでしょう。
そうならなければ、健康を優先させない歯科の未来は、はっきり暗いと言わざるを得ない。
私の率直な意見です。
明日は、福岡で長崎バイオブロックフォローアップセミナーです。
基本的な技術を再確認していただくことと今日のブログの内容について、動画と静止画をふんだんに入れ込んだスライドで講義したいと思います。
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