インプラント治療を説明するときに最近考えること
当クリニックには、本当にたくさんの医師、歯科医師の先生方に受診していただいています。
たいへん有り難いことですし、いち開業医として大いに誇りを感じているところです。
今日もインプラント治療を求めて、あるドクターが来院されました。
CT撮影をし、
・患部を含めた現状の説明
・治療オプション(それぞれの長所短所も)
・治療期間
・治療費用
・好ましくないことが起こる可能性
等々を説明しながら、いつも思っていることを、また今日も感じることになりました。
一つは、治療期間について。
抜歯即時埋入ができない、あるいは食わず嫌いになっている(チタンインプラントしか使用されていなければ致し方ないところですが)先生方は、明らかに患者さんの要望に応えることができないということ。
質の高いHAインプラントを使用して、キチンと抜歯即時インプラント埋入ができれば、ほぼ3ヶ月程度で噛むことができるのに、
ソケットプリザベーション(名前だけは格好いいですね)
と称してあくまで抜歯待時インプラントにこだわれば、倍くらいの治療期間が必要になります。
「いやミニインプラントや、仮義歯でも入れてすぐに噛めるようにして差し上げている!」
という反論がすぐさま聞こえてきそうですが、そのようなことではなく、患者さんは
最終補綴物
で、できるだけ早く食事がしたいということを肝に銘じなければならないということです。
私は、講演会やスタッフ勉強会で、常々
「スピードは立派な技術だ!」
と言っていますが、
“ 治療期間が短い ”
ということも、そのクリニックの実力の一つであると思っています。
ただ、抜歯即時埋入はさまざまなインプラントテクニックの中でも、意外なくらいに奥が深いオプションなので、誰でもがこの治療をすべきであるなどとは決して思っていないということだけは付け加えておきます。
2つ目が、失活歯ばかりの口腔内で、あるブロック(今日は左下)が歯根破折等でダメになった場合、何も考えずにインプラント治療をお薦めすることなど到底できないということ。
特にインプラント補綴物と咬合することになる対合歯が失活歯であったり、失活しているばかりでなく既にいくつかの問題を抱えている場合、インプラントを埋入してよいものかどうか本当にためらいます。
コンクリートの中に強い金属の杭を打ち込んだものと、ズブズブの土の中に入れた弱った木の杭がけんかをすれば‥‥‥、普通に考えれば誰でも想像がつくことです。
今までは、弱いもの同士が加減をしながら、まあ何となくバランスを保っていたという集団が、レベルの全く異なるものが入ってきた瞬間、崩壊の一途をたどり始めるということもあり得ます。
今日はこのようなことも説明に加えながら、やはり患者さんのためにはインプラント治療が望ましいと判断しお薦めした次第です。
顎顔面口腔育成治療以外の矯正治療では
「並べるのはそれほど難しくない、しかし定期検査が恐ろしい(要は後戻りが怖い)。」
とよく言われますが、インプラント治療も
「埋入するだけならステップをふめばそれほどたいへんではない。難しいのは、インプラント治療をすることで、その患者さんの口腔の環境をいかに向上させるか、またその状態をいかに維持させるかということ。」
と言うことができます。
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