治療期間の短縮は非常に重要なことと十分認識しているが・・・
術者による差は大いにあるとはいえ、欠損補綴においてインプラント治療という引き出しがあるとないとでは、治療のバリエーションや患者満足度の大きな開きがあるのは間違いないだろう。
かといって、何でもかんでもインプラント治療を進めればよいかというとそうではない。
高齢の患者であればあるほど、終末的な医療は何かを意識してインプラント治療を応用していかなければならない。
術者主導ではなく患者主導
数ヶ月の違いではあっても、できるだけ早く歯を入れて噛めるようにして差し上げることも、立派な患者主導だし重要なことである。
まだ「抜歯即時埋入即時負荷」を多くの症例で手がけているわけではないので偉そうなことは言えないが、可能な限り抜歯即時埋入を心がけ、ほとんどの症例で良い結果とともに治療期間の短縮ができていることは間違いない。
ただこれも、条件が非常にシビアであれば、「治療期間の短縮」の優先順位を下げざるを得ない場合もある。
昨年4月に保存不可能な右上6を抜歯。
他院にてきちんとしたインプラント治療がなされていてその結果に満足されていたため、当院でもこの部位にインプラントを入れて治療してほしいと希望された。
ただあまりにも条件が悪い。
上顎洞底骨が「卵の殻」どころか、骨が所々抜けている上に、感染によると思われる上顎洞底粘膜の肥厚もあり、ソケットリフトテクニックで使用する補填材の圧も理想通りには伝わらない。
デンタルX線写真を撮影しながら経過を観察していき、インプラントを埋入したのは10ヶ月半後となった。
カルシテックインプラントを使用した場合、垂直骨量が小さくてもインプラント埋入後3ヶ月程度で2次オペから補綴へと入っていけるのであるが、補填材のX線不透過性が増す(新生自家骨への転換)のを待つことそれから6ヶ月。
2次オペ後のペリオテスト値が十分ではないため、そこからさらに経過観察。
2ヶ月弱後、一つの目安である
+02~03
にほぼ近づいたので、今月末に印象を行うこととなった。
抜歯してから印象までの期間としては最長記録である。
患者には不自由を強いた期間が長く申し訳ない思いであるが、経過が順調であることにホッとしている。
お時間がある時に、右下の【歯科医】ボタンをプチッとクリックお願いします。