第二回:成長にあわせたブラッシング

院長 末竹和彦
【乳幼児期】
生後6ヶ月頃より歯が生え始めます。その頃よりブラッシングを始めるに超したことはありませんが、まだ無理に始める必要はありません。キレイに歯のお掃除ができなくても、その代わりに乳幼児用の「歯固め」用のブラシなどを持たせて、あるいはくわえさせ、歯ブラシに対する恐怖心を除きたい時期です。

尚、この時期は指にきれいなガーゼを巻き、赤ちゃんの歯についた汚れ(プラーク)を拭き取ってあげる程度のお掃除で十分です。

【1歳6ヶ月以降】
1歳半からおよそ3歳までの時期は一生のお口の環境を左右する最も重要な時期と言えます。
虫歯になりやすいかどうかは

1.虫歯菌の多さ
2.唾液の量
3.唾液の質
4.食事(おやつを含めて)の回数、おやつの種類
5.ブラッシングのレベル
6.フッ素応用の回数等を総合的に判定する

ことによって想像することができます。

虫歯菌1.の虫歯菌は1歳半から3歳までの時期に感染し、お口の中に定着します。もしお母さん(お父さん)のお口の中に虫歯菌が多い場合はどうでしょう。離乳食をお口の中で柔らかくして子供に与えたり、同じスプーン、フォークを使うことでも容易に虫歯菌の感染が起きてしまうことがわかっています。
治療をしていない虫歯が多い人はもちろん、治療済みの歯が多い人も「自分の口の中には虫歯菌がたくさんいる」ということを自覚して、この危険な時期に将来的に除去することの難しい菌を感染させない努力が必要です。まずできることは出産前に虫歯の治療を済ませておくことです。

おやつの量、回数が多くなるのもこの時期です。おやつをあげないというのは現実的ではありませんので、極力おやつの回数を少なくして、さらに食後にはブラッシングをするという習慣をつけることが大事です。私の担当している地区だけかもしれませんが、1歳6ヶ月の歯科検診に行くと、「子供が歯ブラシをいやがってなかなか歯ブラシをさせてくれません。」と言われるお母さんが多くいらっしゃいます。それに対して私は、「とにかくやってあげなければなりません。」とお答えしています。子供がいやがる状況で無理してブラッシングを行う場合は首を痛めたり、歯肉に傷を付けないように次のような方法で行います。

歯みがき右の写真のように、まず
1. 子供を仰向けに寝かせ

2. 肩を押さえ、頭を軽く固定するように足を載せます。
首だけを固定してしまうと、体を動かすことで首を痛める危険があります。
これで首に負担をかけないための準備ができました。

次に
3. 子供用の小さな歯ブラシを使用し、前歯の表側から磨いていきます。
子供が歯ブラシをいやがってお口を開けてくれない状況でいきなり奥歯のかみ合わせる部位から磨こうとしてもうまくいきません。

4. きちんとブラシの毛先が届けばプラーク(おもに虫歯菌と虫歯菌の死骸の固まり)は除去できますが、縦磨きか横磨きどちらが良いかということになると、基本的に「横磨き」の方が効率が良いと言えるでしょう。大人の場合も含めてブラッシングに共通していることは『大きく動かさない』ということです。

5. 前歯の表側が磨ければ、次は奥歯の表側です。同じ方法で磨いてあげましょう。奥歯の表面までは歯を食いしばっていてもそこそこ磨くことは可能です。

6. このころまでに歯ブラシを嫌がって泣くか、唾液がたまることでお口を開けてくれるようになります。歯の表側のブラッシングが終わっていなくてもこのチャンスを見逃さないようにブラシをかみ合わせの部分に入れて奥歯の溝をよく磨いてあげてください。

7. ブラシを外側に取り出すことなく、ブラシの柄の部分を回転させて歯の裏側を素早く磨きます。

以上の方法で行えば歯ブラシを嫌がるお子さんも比較的スムーズにブラッシングを行うことができるはずです。

【3歳~6,7歳】
「子供が自分で1日2回きちんと歯ブラシをしています。」と言われることがあります。それに対して私は「最終的に仕上げ磨きをお母さんか、お父さんがされていますか。」とお尋ねします。理由は、この時期に完璧なブラッシングを求める方が無理であるからです。まだ、子供たちに任せることができる年齢ではありません。

スクラッビング法【8歳~12歳】
虫歯を作らないようにするための歯ブラシをこの時期に定着させると大人になっても上手にブラッシングを行えていますし、反対にブラッシングが十分ではなく、お口の中が不潔な状態を何とも思わない子供に育つと、大人になってもその習慣を変えることが非常に難しくなります。方法はスクラッビング法と呼ばれる方法をお奨めしています。

バス法【13歳以降】
歯肉の炎症に(歯肉炎)に、さらに歯を支えている骨(歯槽骨)が溶ける症状が加わると、これを歯周病と言います。最近、歯周病の発症が若年化していることを考えると歯だけではなく歯と歯ぐきの境の部分に対するブラッシングが必要となってきます。

スクラッビング法と同じ歯ブラシの動かし方で歯ブラシを斜めに(45度)傾けて、毛先を歯ぐきの中に少し挿入する気持ちで動かします。

どの年代の歯ブラシにも共通することは、決して力を入れないということです。歯ブラシの毛は硬い必要は全くありませんし、非常に柔らかい歯ブラシでも毛先が当たれば汚れは落ちます。力を入れて歯ブラシの毛先がつぶれると、反対に汚れの落ちる効率が悪くなります。

《電動歯ブラシ》
電動歯ブラシ電動歯ブラシと通常の歯ブラシとではどちらの方が効率が良く、キレイに磨けると思われますか?答えは電動歯ブラシです。

あまり上手に歯ブラシができなかった患者さんに当院でお勧めしている電動歯ブラシを使っていただいたら、いきなりお口の中がキレイになるということはよくあることです。「当たればとれる」わけですから難しいテクニックも必要ありません。

歯ブラシが苦手なかたばかりではなく、比較的上手にブラッシングをされているかたも、電動歯ブラシを使うことによってほぼ完璧な清掃状態を得ることができます。

私自身の経験でも(歯科医師ですから、一応上手な方だと思いますが)通常の歯ブラシを使って「歯がつるつるした感じ」を得るためには相当な時間が必要ですが、質の高い電動歯ブラシを使うと、ものの3分ほどで気持ちの良いお口の中にすることが可能なのです。
ただ電動歯ブラシにも当然欠点がありますので、そこを理解して使用しなくてはなりません。

〈 欠 点 〉

ロタデントR

1.質の高いものは、まだ高価である。(1万円以上はするでしょう)
2.複雑な構造のものもあり、臭いがするようになる。
3.2の理由からブラシの部分も数ヶ月に1度交換しなくてはならない。
4.歯磨きペーストを使用すると、特に前歯を磨くときに飛び散ってしまう。

もう1つ付け加えれば、市販されている安価なものは、ブラシの毛が硬く歯肉を傷つけやすい傾向にあります。

当院では、毛の硬さがちょうど良く、構造的に単純なため臭いもほとんどつかない【ロタデントR】をお奨めしています。


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