患者さんを泣かせてしまいました
先日、患者さんを泣かせてしまいました。
それも、ご高齢で、足が不自由な女性の患者さんを!
当クリニックは、歯科医師が一人しかおらず、5台(インプラント室を含めると6台)全ての診療台に患者さんがいらっしゃる時には、
モグラたたきゲーム
のように、あっちに行ったり、こっちに行ったりと診療室内を走り回っています。
約20日前、2つ隣の診療台からこの患者さんのもとへ近づくと、ハンカチで目を押さえていらっしゃいました。
頭蓋骨の歪みが大きくて咬合平面の決定が難しく、顎位が非常に不安定な上、顎堤の吸収も著しい、試適を2回入れなければならなかった上下総義歯の患者さんです。
咬合紙を30~40枚くらい使ったでしょうか。念入りな咬合調整が終わったので、次に行う義歯床下粘膜との適合状態チェックと、研摩面形態の細かい調整を残し、他の患者さんを診るために、その場を離れていたのですが、帰ってきたら少しうつむき加減にしていらっしゃったのです。
「どうされました?」
と伺うと
「先生、私うれしくて‥‥。うれしくて泣いているんです。」
と言われました。
非常に難しい条件でしたので、何度義歯を作ってもうまくいかなかったのでしょう。咬合調整が終わった段階で、何とか噛めそうな義歯だとわかって涙が出たのだと想像しました。
まだ細かいチェックと、調整を行っていますが、
「硬いものを噛むと、ここがちょっと痛い。」
というお話から、一定の吸着が得られ噛めていらっしゃるということがわかり、とりあえず役目を果たすことができたのだろうとホッとしています。
この患者さん、妹さんと一緒に来院されているのですが、お二人から過分なお礼をしていただき恐縮もしています。
今後は、
「何でも噛めて、自分の歯のようですよ。」
と言っていただけるよう、細部の詰めとチェックをしていきたいと思います。
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