スーー、すっきり!
数日前、自発痛を訴えて来院された患者さんの患部(左下6)のデンタルX線写真を撮りました。
写真の質は、全く問題ない“ 極上レベル ” でしたが、
ここが異常だ
という場所がありません。
さらに、これが後で非常に問題になるのですが、3根とも根管が全くわからないほど石灰化しているようでした。
急患であったため
・時間を十分にかけて治療できない。
・予約を入れて来院されている患者さんの治療をしながらの処置になり、他の患者さんの治療に少し余裕ができたときに戻ってきて治療を行うので、長い時間診療台に座っていただく。
ことをあらかじめ了解していただいた上で治療を始めました。
明らかに動揺があったので、急化Perでまず間違いないと診断し、伝達麻酔を行って十分奏功してから処置を開始しました。
メタルコアーを外して髄床底をきれいにしましたが、案の定根管口らしき色や柔らかさの場所は3根ともありません。
相当タイトな予約状況から、この患者さんにおかけできる時間がトータルで20分と判断し、モグラたたきのようにあっちの治療台、こっちの治療台と行ったり来たりしながら、何とか2根管を見つけ、トランスポーテーション(本来の根管からの逸脱)を起こすことなく根尖にたどり着くことができました。
しかーし、排膿がありません。
患者さんはもちろんですが、私も全くすっきりしないまま、
・残念ながら、時間の関係上一番石灰化が激しいと考えられる根管は開けることできなかったこと。
・それでも痛みが止まる可能性はあること。
・痛みが治まらない可能性が半分くらいあるので、お薬をお出しすること。特に痛み止めは多めに処方すること。
・痛みが止まらない場合は、残ったあと1根管を根尖まで道作りをしなければならないこと。
を説明し、モヤモヤしたままその患者さんの治療を終えました。
今日は、その患者さんの2回目の来院日でした。
治療台に座られると、穏やかな口調ながら、痛みがほとんど取れず、痛み止めに頼る生活であったことをスタッフに訴えていらっしゃいました。
少し触ると動揺は収まっておらず、未処置の1根管を処置するため、再度伝達麻酔を行いました。
揺らして痛くないことを確認して、気合いを入れて治療スタート。
SEC1-0 と#06、#08、#10のK-ファイル、5種類のゲーツドリル、AIオリフィスバー
と
5倍のテレスコープ、歯科用マイクロスコープ
を使い、湾曲を維持しながらトランスポーテーションだけは起こすまいと慎重に進めること20分弱。
そろそろ根尖孔に「こんにちは」ができるのではないかと思いながら、#06のK-ファイルをSECにつけて弱い力で根尖を探索していたある瞬間、血液が混じった膿が
スーー
と大量に上がってきてくれました。
「よかったですね。これで確実に痛みが止まります。念のために痛み止め追加しておきますね。」
と言いながら、排膿と同時に自分の胸のつっかえもとれた感じがしました。
とりあえずホッとしましたが、強度に石灰化していて、絶対にトランスポーテーションが許されない、しかも3根管というのは厳しかったですね~。
少しでも曲がったファイルは廃棄しながら治療をしたので、2回の治療で合計20本以上のファイルをダメにしてしまったアラフィフ歯科医を応援していただける方、右下の【歯科医】ボタンをプチッとクリックお願いします。