先生、表面麻酔しないんですか?
平均的な歯科医と比較すると間違いなく麻酔をする率が少ない私ですが、抜髄や抜歯が非常に多かったので、今日一日、
伝達麻酔と浸潤麻酔
をたくさん行いました。
今まで診療の見学をされた多くの先生の中で、その浸潤麻酔時に私が行う右手首と指の変わった動きに気が付いてくださった方がお一人だけいらっしゃいます。
麻酔の痛みは、
①刺入時の痛み
②注入時の痛み
にきれいに分けることができると思います。
注入時の痛みを軽減させる方法として麻酔液を温めるとよいと言われる時期があって、私もそのための小器械を購入し試してみましたが、感覚的に有意差がない。
結局、注入スピードを遅く、特に入れはじめをゆっくりということしかない(電動麻酔器はこの設定ができる機種が多い)わけです(いきなり骨膜下に入れるなどは論外)。
一方、刺入時の痛みに関しては、表面麻酔を用いる方法と、もう一つ
刺入時の “ 瞬間 ” スピードを速くする
ということが考えらえます。
針先で粘膜がビヨ~ンと引っ張られず、先端が粘膜に触れた瞬間あっという間に入っているという、「瞬間スピード」を増すために私が実践している方法が、
・粘膜を緊張させる。
・針先を進めるのではなく、左手で持ったその粘膜をかぶせるようにする。
そして、
・針先が粘膜に触れる直前に針先を回転させる。
という方法です。
技術が進歩し、切れが良いように針先のカットを工夫されていることが当たり前ですが、それでもまだ粘膜を緊張させていてもスッと入っていかないことがよくあるのは、歯科医の皆さん、それを横で見ている歯科衛生士、歯科助手の方であればご存知の通りです。
これが針先がブレないように注射筒を回しながら、そこに緊張させた粘膜をかぶせていくと、本当に瞬間に針先が組織の中に消えていきます。
指と手首の使い方に少しコツがありますが、ルーティンに実践されれば表面麻酔を使用する場合と有意差がないのではないかと思っており、これが、通常私が表面麻酔を使用していない理由の一つなのです。
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