欠損補綴はすべて義歯でいいと思っている人‥‥
インプラントの陰の部分を誇張して取り上げて今回話題になった「クローズアップ現代」を、鬼の首でも取ったかのように高笑いして見ていた人がいるでしょうし、ブログをのぞいてみると、まあ実際‥‥。
要はインプラント治療をやったことがない先生が「ほらみたことか」ということだと思います。
インプラント治療を求められている方がたくさんいらっしゃるから、インプラント治療が増えるのであって(今からも増えるでしょう)、テレビであったような、一部のポリシーのない歯科医師が「経営のため」としていくら患者さんに薦めても、全世界的に増えるわけではありません。
「義歯で十分食事ができるはずだ。」
「前歯部も義歯でいいじゃないか。」
「ブリッジのどこが悪い。」
と思っている先生がいらっしゃるとしたら、それこそ傲慢。バランスの悪い先生の考えです。
ちなみに、私の母は、元来口の状態はあまり良くなかったらしく、私が歯科医になり、開業するために実家に帰ってくるまでは、上下顎にパーシャルデンチャーを装着していました。具合が悪いということはなかったようですが、やはり「固定式」を望んでいたようです。
現在、母の口には、13本のインプラントが入っています(もちろん私がすべて治療しました)。咬合平面を修正し、機能的な咬合を付与して、咬合圧も定期的にチェックしているので、15年前から入れている分を含めて一切トラブルはありませんし、ほぼ辺縁の骨吸収もありません。また、事あるごとに
「インプラントがこれほどありがたいとは思わなかった。あなたがインプラント治療ができる歯医者でよかった。」
と言ってくれます。
さらに、小さい頃から虫歯がたくさんあり、現在では、あちこちの歯が歯根破折を起こす妹にも、6本のインプラントを入れ審美的な補綴をしています。
「若いときから入れ歯にするのはやっぱりいや。兄ちゃんがインプラントしてくれなかったら大変だったね。感謝感謝。」
と拝んでくれます。
今回のクローズアップ現代が決して悪いとは思いません。インプラントに関わる医療過誤が増加の一途をたどっていることは間違いないことでしょうし、そのことに対して本格的に警鐘を鳴らす意味で良かったのだと思います。大事なことは、インプラント治療が成功すれば、明らかに生活の質が向上することを見ずして、
インプラントが悪いのだ
というのはいかにも短絡過ぎるということ。何度も言いますが、義歯で我慢しなさいというのは、その歯科医のエゴです。
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