マイクロスコープ vs ルーペ(拡大鏡)考
マイクロスコープを買っても
高価なオブジェ
になってしまっているクリニックがある一方で、研究してハイパーな使いこなし方をされている先生方もたくさんいらっしゃると思うので、数か月単位の使用で、その感想について軽々にブログで書くのはいかがなものかと控えておりました。
一昨年の九州デンタルショーで十分に機種を検討して、
OPMI pico with MORA interface
を購入してもうすぐ2年。
そろそろ自分なりの、あくまで私個人の意見ということであれば書いてみてもよいのではないか思い、パソコンのキーを叩いています。
それぞれの 長所 and 短所 は専門書にゆずるとして、現在のところ、全ての治療台にマイクロスコープを設置するつもりは全くないという理由を端的に書いてみたいと思います。
それは、以下の大きな2つの理由から。
まず、視る方向、視軸と言っていいのかわかりませんが、患者さんの顔から完全に外れてしまうことです。
2.5倍くらいのルーペであれば、間違いなく患者さんの痛そうな表情、辛そうな顔が視界に入ってきますが、5倍くらいになると口の周り以外は見えない(それでも口元の変化で少し気が付くこともあります)。マイクロスコープに至っては、方向が全く異なるわけですから、わかるわけがない。
これは患者さんという人間を治療しているというよりは、「もの」を扱っているという感じに近づいてきます。
次に、私のレベルだからかもしれませんが、歯科用マイクロスコープでは、やっぱり2次元に近い映像しか得られないと思うことです。
神様は脊柱のうち、頸椎と腰椎をよく動く部分として作ってくださいました(胸椎も呼吸のために小さな動きは可能)。
その首(頸椎)を3次元的に動かすことで、2次元的な映像はつながりを見せ、情報は立体的なものになります。
細かな凹凸の把握が必要な場合、また俯瞰的な治療や機動的な処置が求められる、例えば
インプラント治療(特に多数歯)や水平埋伏智歯抜歯
など外科処置(歯根端切除術は別)には、「目」の延長である歯科用ルーぺと比較して、圧倒的にマイクロスコープが不利だと考えているのです。
精度を大幅に向上するためには、マイクロスコープが必要な処置はたくさんありますし、すでに当クリニックにはなくてはならない機械です。
しかし、上記2つの理由により、
常時使う努力をする必要はない!
というのが現在の考えです。
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